株式会社Tの場合

≪概要≫

懸賞幕、横幕などの販売促進ツールをオーダーメイドで制作している株式会社T(以下「T社」)の社用ブログで、株式会社アートバンク(以下「アートバンク社」)の取扱いイラストが使用されていた。
この件について、T社の代理人弁護士A氏は、
“当該イラストは、T社の担当者が、Yahoo!JAPANのトップページより、『無料・イラスト』で検索して出てきた『無料イラスト画像』につき、さらに「お正月」で絞込み検索して出てきた画像を使用したもので、アートバンク社の取扱いイラストを使用した認識はない。”
といった旨の回答をした。
なお、回答受信後のアートバンク社の調査では、Yahoo!JAPANにおける「無料・イラスト・お正月」をキーワードとする検索結果に、当該イラストは表示されなかった。




≪論点≫

① 検索エンジンの画像検索とは?

そもそも、「Yahoo!JAPAN」や「Google」等の検索エンジンの画像検索サービスとは、どのような仕組みなのでしょうか。
画像検索とは、「ウェブ検索」のように「文字で検索結果を表示」する代わりに、「画像で検索結果を表示」し、ウェブ検索と同様に「その情報が掲載されているサイトに案内する」サービスです。
素材提供サイトではありませんので、検索エンジン自体は、検索結果として表示された著作物の著作権を保有していません。権利者を確認せずに、検索結果からそのまま転載する行為は言語道断です。


② 画像検索で「無料・イラスト」と検索して表示された画像は、すべて「無料イラスト画像」なのか。

検索結果が表示されるアルゴリズムは明らかになっておりませんが、ユーザーが入力したキーワードすべてに合致する情報のみが表示されるものではありません。画像検索もウェブ検索と同様です。
例えば、画像検索で「無料・イラスト」+「●●」のキーワードで検索・表示された画像が、すべて無料イラストであるかというと、そうではありません。
「ミッキーマウス・無料・画像」や「冷蔵庫・新品・無料」で検索すると膨大な量の情報が表示されますが、それらすべてが無料で使える、あるいは無断で持ち去って良いものであるということになれば、どうなるでしょうか。
無料か否かを含めた利用条件は、必ず出典を確認する必要があります。


では、実際に無料の素材であると確認できれば、無条件で利用可能なのでしょうか。


③ 「無料イラスト画像」であれば、そのまま無断で使用してよいか。

無料イラスト=無許諾使用可能ではありません。
無料イラストは、無料で使用しても良いという許諾を、著作権者から得た状態です。
ただし、商用利用は有料であったり、出典の明記やリンクが必要であったりなど、何らかの条件がつく場合が大半で、無条件で無料使用可能なものはほとんどありませんので、利用規約を必ず確認する必要があります。
利用規約に違反する利用法であれば、それは許諾を得たことにはなりません。


ウェブ検索で表示された文章をそのままコピー&ペーストして使用してはいけないのと同様の理由で、画像検索で表示された画像も、私的使用の範囲を超えて許諾なく複製・再使用することは許されません。
イラストレーションは、著作権法上「美術の著作物」と位置付けられており、著作物の使用にあたっては著作権者の許諾が必要です。

それは、「そのイラストの対価がいくらであるか、あるいは無料であるか」という話とは異なる問題です。



≪まとめ≫

画像検索で「無料」と入力し検索結果に表示された画像は、無断で使用可能か。
→どのような画像であれ、必ず出典を確認し、著作権者から使用許諾を得る過程は必須です。




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