1998年夏の参議院選挙における自民滋賀選挙事務所
「そっくり壁画」騒動の顛末

6月25日、参議院の選挙運動が開始されたが、自民党滋賀県支部連合会の選挙事務所全面に描かれた計13点のイラストレーションが、カワキタ・カズヒロ氏の作品を模倣したものであることが、7月5日に判明 。

7月12日の投票終了を期に同作品を取扱う株式会社アートバンク並びにカワキタ・カズヒロ氏より正式に抗議を行う。

8月6日、アートバンク本社にて関係者間の会合がもたれる。

この中で、絵を依頼した先の商業美術家が自分の作品と称してカワキタ氏の作品を自民党関係者に見せ、作品が、この商業美術家のオリジナルという前提で壁画の製作が行われたことが明らかになる。

事故的要素が高い出来事であるが、党として、無党派のカワキタ氏の人格権を侵害することになった「結果としての責任」の存在を確認。

ソックリ広告博物館を一覧し、本件はイラストレーターのみならず、デザイナー、コピーライターなど、クリエイティブな仕事に従事する人々が、その仕事について相応の対価・報酬を得る権利が十分に守られていない日本の広告業界の現状が背景にあり、この「事故」が極めて根の深いものであることが認識される。その上で、当サイト上に政権政党として、クリエーターを初めとする制作弱者の無体財産権の保護に重点を置いた、世直しのための謝罪文の掲載が党の積極的同意によって決定した。





自民党滋賀県支部連合会選挙事務所の写真
自民党滋賀県支部連合会選挙事務所の写真(1998年7月9日撮影)


オリジナル作品
ソックリ作品
オリジナル/カワキタ・カズヒロ氏作 自民党選挙事務所に描かれたそっくり作品




無体財産権の保護拡大について

自由民主党滋賀県支部連合会

戦後五十年近く続いた、我が国経済の右肩上がりの経済成長も一段落し、現在、低成長時代を迎えております。少子高齢化の進展などの社会構造の変化や環境問題などの新しい課題の発生により、今までの重厚長大産業に頼るばかりでは、1億2千万人にも及ぶ日本国民の生活水準を維持していくことさえ困難と言われています。

そこで、新技術の発明などにより新しい価値を作り出す、といういわゆる無体財産の開発と蓄積がこれから大変重要なことになるというのは多くの方が指摘なさっていることです。そしてアメリカなども、これらの無体財産の重要性を認識して、国家一丸となってその権利保護に取り組んでいることは、アジア諸国などへの働きかけをみても明らかであります。

これらの無体財産というのは、他者との境界の確定が非常に困難を伴うものであります関係上、その無体財産について権利としての保護という事柄は容易にいかないのが現実であります。実際に、無体財産権に含まれる芸術の意匠権や新技術の隣接領域分野など、その境界の曖昧性ゆえに、故意にか過失にてか無体財産権者の権利を実質的に侵害してしまうという話も聞き及んでおります。

でありますから、無体財産権の保護ということにつきましては非常に真剣に取り組むべくであり、その事こそが二十一世紀の日本の国益と活力に資するものであると、私どもは強く考えております。

確かに無体財産権の権利内容の確定は権利の性質上非常に困難を伴うものでございます。

しかしだからといって、権利を保護しなくて良いということにはなりません。

逆に、そのようなものであるからこそ、我々政治の世界の人間が中心となって国民全体に合意が得られるようなルールを策定し、以て無体財産権の保護を拡充していくことが何より重要でありますから、以降も無体財産権のより適切な形態での保護の為に誠心誠意励んで参るべきであると考えております。

我々も以上に述べたような認識に基き、常々細心の注意を払っているつもりでありましたが、先日執り行われました第18回参議院議員通常選挙に際して依託業者に依頼したデザインの意匠がカワキタ・カズヒロ氏作、株式会社アートバンク管理に帰するものであり、またそのデザインが公になる事によってカワキタ氏の思想信条に対して周囲の人々に誤解を生じせしめる事となりました。

会全体としての知的財産権に対する意識が希薄であり、依託業者との調整確認に不備があった事により、今回このような結果を齎した事について、大変遺憾であると存じます。今後は、当連合会においても監視体制のさらなる強化策を検討し、このような事態の再発を防ぐよう努めて参る所存でございます。

今後とも株式会社アートバンクが、この知的財産の保護の為、ご奮闘頂きますよう祈念申し上げ深謝の弁といたします。



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